『ソーシャルワーク』を実践する前に≪大切な考え方≫があります。

保育士のホンネのページ

≪家庭生活の問題解決≫に必要な技術としての≪ソーシャルワーク≫ をご紹介しました。

 

≪問題解決≫の技術や手法として、≪ソーシャルワーク≫という技術はとても役に立つのですが、

ただ、誤解してはならないのは、≪ソーシャルワークで全ての問題が解決される≫訳ではないということです。

 

≪問題を解決する≫ためには、実は ≪問題を解決するための考え方≫が必要になってきます。

 

 

『問題を解決する』=ソーシャルワークではありません。

保育現場のソーシャルワークを学ぶ前に是非 みなさんに「知っておいて欲しいこと」があります。

 

学校現場の「スクールソーシャルワーカー」として活動した中で、特に強く感じたこと。

 

それは、≪問題解決≫と≪スクールカウンセリング≫や≪スクールソーシャルワーク≫は別物だということです。

 

(問題解決)=(ソーシャルワーク、カウンセリング)ではないのです。

 

問題解決のためには、≪問題解決するための考え方≫が必要であり、その考え方の上に技術としてのカウンセリングやソーシャルワークがなければ決して問題など解決できません。

 

これは、きっと「保育ソーシャルワーク」でも同じです。

 

その中でも特に≪重要な考え方≫を1つご紹介したいと思います。

 

≪困っていない問題≫は絶対に解決することはありません。

これは≪スクールソーシャルワークの現場≫のお話です。

 

学校からあがってくる問題や、先生から相談される内容をお伺いしていると、ある特徴が見られます。

それは、先生は困っているのですが、『保護者が困っていない』という場合が非常に多いということです。

 

まず最初に断言しておきます。

不登校であれ、問題行動であれ、DV、虐待どんな問題であれ『保護者が困っていない問題』は解決しないということです。

 

下の図を見てください。これは ≪困り度≫を表したグラフです。

 

学校からあがってくる相談は、≪先生からの相談≫です。

そのため、先生は、クラスの運営上非常に困っています。でも、当の本人はそうでもなく保護者に関しては、ほとんど困っていないし、問題だとも思っていない。

 

担任の先生は、他の先生やカウンセラーに相談し、なんとかしたいと考えているが手の打ちようがなく、現在の状況が全く改善されない。

増えるのは、先生の≪困り度≫の値のみ・・・こうしたケースが多いのではないでしょうか?

 

 

これは、このまま時間が経過してもまず改善しません。

「動きません」・・時間の無駄遣いです。

もし、動きがあったとすれば、それは保護者に何らかのトラブルが発生し、解決しなければ困る状況になったり、

また転居したり、生徒が卒業していなくなる、といった『相手の都合』で変わる場合のみです。

 

これは、こちらが『問題を解決した』のではなく、『問題が自ら立ち去った』だけです。

 

特に不登校の相談などの場合、カウンセラーさんが、「もう少し元気になるまで見守ってみましょう。」「エネルギーがたまるまで待ちましょう」「今は今で大事。今のお子様をすべて受止めましょう」、もし、そうした助言をしようものなら、保護者は安心して≪困ることはない≫のです。

 

保護者が困らなければ、こどもも困りません。カウンセラーも登校刺激はしないのでそして、状況は変わらず、困るのは≪先生≫のみです。

 

では、解決するケースの困り度はどうなっているのでしょう。

下の図が≪解決するケース≫です。

 

 

保護者の困り度が高ければ高いほど解決します。これを≪M 型≫と当研究所では呼んでいます。解決しない、

先生だけが困っているケース。(一番上の図)これは≪L 型≫です。

 

そして、問題が解決していけば、それぞれの値が減り≪一文字≫になるのです。

 

 カウンセラーやソーシャルワーカーが、保護者の≪困り度≫をあげると、先生の不安や不満が減り、

先生の≪困り度≫は下がります。そうすることで平坦な≪M 型≫になり、今度は、児童への働きかけを増やすことで、この≪M 型≫が≪一文字≫に変化し、解決していくのが流れです。

 

先ほどもご説明したように保護者の面談時に、見守りや受容ばかりを提案すれば、保護者の困り度は上がるはずがありません。これが、現在の不登校への対応やカウンセリングの問題であり、この対応は、もう現在変わりつつありますが、まだまだそのままの対応をされている場合が多いのが現実です。

 

≪登校刺激はしてはいけない≫ ≪エネルギーが溜まるまで待つ≫この対応をしなければならないケースがあります。

それは『こどものうつ病』です。

 

当研究所では、こどものうつ病の認知行動療法セラピーを行っておりますが、こどものうつ病の場合、こうした刺激は発症の原因となるのでやってはいけません。

 

 

先生、児童、保護者の≪困り度≫から問題を分析してみるとわかること。

 

それは、≪カウンセラーやソーシャルワーカーの仕事は困らせること≫なのです。

 

ずばり、カウンセラーやソーシャルワーカーが保護者に対して何を行わないといけないのか?

 

それは≪保護者の困り度≫を上げることなのです。

 

つまり≪L 型≫を≪M 型≫に持っていくのが本来の仕事なのです。

 

ただ、誤解のないようにお願いしたいのですが、

≪困らせる≫というのは、単に≪不安にさせる≫ということではありません。 

 

≪不安にさせる≫のではなく、≪考えさせる≫ことなのです。

 

そのためには、もちろん、『言葉がけ』の技術が必要となります。

 

 

 

 

学校現場でも、これからお話する保育の現場でもそうです。

 

問題を抱えている人は、カウンセリングをして欲しいわけでもなく、ソーシャルワークをして欲しいわけでもありません。

 

ただ、『問題を解決して欲しい』のです。

 

そのためには、「問題を解決する」ための方法を知っていなければ、問題など解決することはできないのです。

 

まず、この考え方を理解して頂きたいと思います。(げんき)

 

 

 

『先生の困り度が低い場合が多い』のが現状。

実際に現場に入ると、非常に保護者からの相談が多く、保護者の≪困り度が高く≫、先生の≪困り度が低い≫

そうした状況がとても多いのが現状です。

 

その場合は、もちろん、先生に困ってもらわなければなりません。

 

現場で気づくのは、≪氷山の上≫つまり、見えている部分のみを≪問題≫と思っていらっしゃる先生が非常に多いと

いうことです。

 

≪問題≫というのは、≪氷山の上≫のみをさすのではなく、≪氷山全体≫こそ≪問題≫なのです。(げんき)